楽曲ガイド 作品と関連記事

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 Op.63

Violin Concerto No. 2 in G minor, Op. 63(1935)

主調の地図:ト短調(I)に発し、遠い変ホ長調(II)で歌い、ト短調(III)へ戻って最後にト長調の響きで閉じる。

出典・底本
主な分析ソース:Fang-Chun Hsieh, A Study of Prokofiev's Two Violin Concertos(シンシナティ大学・DMA 学位論文・2024。全3楽章の区分表を持つ)/Bradshaw, PhD thesis, University of Queensland, 2018(博士論文。第1楽章を Sonata Theory の語彙で割り付ける)/Konrad Harley, "Harmonic Function in the Music of Sergei Prokofiev"(トロント大学・博士論文・2014。第1楽章の主題の音名列と和声)/Deborah Anne Rifkin, "Tonal Coherence in Prokofiev's Music"(ロチェスター大学イーストマン音楽学校・博士論文・2000)/Esther Stephens Kerr, A Stylistic Analysis of Serge Prokofieff's Second Concerto for Violin(North Texas State Teachers College・修士論文・1943。全楽章の小節番号つき付録表)/Anna Jouzová Sommerová(プラハ芸術アカデミー HAMU・修士論文・2019。第2楽章の最も詳しい記述。小節番号ではなくリハーサル番号を使う)/編成と演奏時間は Boosey & Hawkes の作品ページ。
位置の準拠:小節番号による。底本は Edition Russe de Musique(Berlin, 1937)の M. Baron(New York, ca.1941)復刻、図版番号 MB 267(IMSLP)。この版は小節番号とリハーサル番号の両方を印刷し、小節番号は楽章ごとに 1 から振り直される。第1・第2楽章の区分は Hsieh 2024 と Bradshaw 2018(第2楽章は Hsieh 2024 と Kerr 1943)の表に拠り、第3楽章の区分・拍子変化・打楽器の入りは本ガイドが総譜と各パート譜から実測した(本文に明記)。リハーサル番号と小節番号の対応は、総譜の直読と Hsieh の譜例キャプションの2系統で照合してある。実測の確かさは一様ではない——カスタネットの3箇所は総譜と Kalmus の打楽器パート譜の2系統で確認したが、それ以外の多くは単一の読み取りで、音名は1度ずれる可能性が残るものがある(第3楽章のロンド主題は総譜側とパート譜側で読みが1度食い違った。本文に明記した)。スキャンの解像度で読み取れなかった箇所は、推測を書かず「読み取れなかった」と本文に書いた。楽器編成・強弱・拍子の記述は、人名や資料名を添えていない限り本ガイドの総譜読みによる。
参照録音:ダヴィッド・オイストラフ独奏/アルチェオ・ガリエラ指揮フィルハーモニア管弦楽団(1958年録音。英語版 Wikipedia の録音一覧による)。区分ごとの時間目安(≈mm:ss)は付けていない。特定の録音に紐づけて区分の経過時間を示した公開資料はこの曲に見当たらず、本ガイドでも計測していない。推測の時間は書かない。
本文で言及する論:Hsieh(3楽章の区分・拍子の交替)/Bradshaw(第1楽章の主題群の割り付け)/Harley(主題の音高内容と和声)/Rifkin(主題の作られ方)/Kerr(1943年の区分と調性分析)/Jouzová(第2楽章の進行と楽器)。分析者で見解が分かれる箇所は本文に両論を併記する。

全3楽章の俯瞰

楽章形式主調拍子位置精度聴きどころ
I. Allegro moderatoソナタ形式ト短調4/4 中心小節(資料)独奏ヴァイオリンが伴奏なしで、低い音域から主題を弾き出す。管弦楽が入るのは9小節目で、しかも主題を遠い調で取り上げる。第2主題は平行調の変ホ…ではなく変ロ長調で、そこだけ光が差す。
II. Andante assai複合三部形式(ロンドとする読みもある)変ホ長調12/8・4/4・9/8・6/8 が交替小節(資料)ピッツィカートの三連が絶え間なく回り続け、その上を独奏が歌う。伴奏と独奏で拍子が食い違う箇所すらある。歌そのものは単純で、変奏を重ねながら4回戻ってくる。
III. Allegro, ben marcatoソナタ・ロンドト短調 → ト長調3/4 中心(7/4・5/4 ほか)小節(本ガイド実測)重い舞曲。カスタネットが3回だけ入り、そのたびに主題の回帰を知らせる。終盤は拍子が小節ごとに入れ替わり、独奏は開放弦のG音まで駆け下りて終わる。
楽章をまたぐ仕掛け:独奏カデンツァを持たない協奏曲で、独奏の見せ場は楽章の内側に織り込まれる。第1楽章が独奏と管弦楽のピッツィカートで終わり、第2楽章がピッツィカートで始まる、という受け渡しがある(Jouzová)。作曲地が楽章ごとに違うことをプロコフィエフ自身が書き残しており(第1楽章の主要主題はパリ、第2楽章の第1主題はヴォロネジ、管弦楽法はバクーで仕上げ、初演はマドリード)、総譜は1935年8月16日にバクーで完成した(Nestyev 1946)。初演は1935年12月1日、マドリードのテアトロ・モヌメンタル、ロベール・ソエタン独奏、エンリケ・フェルナンデス・アルボス指揮マドリード交響楽団。ソエタンに献呈され、初演後1年間の独奏権も彼に与えられた。第1番 Op.19 とは「音楽的にも様式的にもまったく違うものにしたかった」というのが作曲者自身の言葉で、Hsieh 2024 がプロコフィエフ《ソヴィエト日記 1927 ほか》p.298 から引いている(本ガイドはその原本を確認していない)。

第1楽章 Allegro moderato

ソナタ形式
主調:g moll4/4 中心 全273小節リハーサル 1–29 無伴奏独奏で開始カデンツァなし
提示部
mm.1–91
展開部
mm.92–182
再現部
mm.183–257
コーダ
mm.258–273
※ 幅は小節数に比例。区分は Hsieh 2024 の表による(提示部の終わり 91、展開部 92、再現部 183、コーダ 258)。同じ境界を示す第2の分析(Bradshaw 2018 とされるもの)にも当たったが、本ガイドはその書誌を同定できなかったので、独立の裏づけとしては数えない(下の文献欄)。Kerr 1943 だけが展開部を m.75、コーダを m.241 とするが、Kerr の細かい区切り(1/28/37/43/52/69/78/92)は全員が共有しており、割れているのは mm.75–91 と mm.241–257 を「提示部の終結」と呼ぶか「展開部・コーダの開始」と呼ぶかというラベルだけ。
主要主題
第1主題 m.1
基本楽想の音高内容は G – B♭ – D – E♭ – C♯ – D(Harley 2014, p.108)。つまりト短調の三和音をアルペジオし、その第5音 D を E♭ と C♯ で半音階的に上下から挟む(Rifkin 2000 の記述と一致)。リズムは8分音符2つ+4分音符1つ(Jouzová)。無伴奏の独奏ヴァイオリンが低い音域で弾く。Michael Steinberg は「やや装飾されたト短調の和音を、8小節にわたって反芻する」と書く(本ガイドは原本を確認しておらず、下の文献欄のとおり又聞きである)。m.8 に E♭–F♯ の減7度跳躍(Harley)。
管弦楽の応答 m.9
リハーサル1。管弦楽が主題を取り上げるが、主調ではなく ♯iii の調(ロ短調)で。Harley は、m.7 の変ホ長和声から続く表層の長3度下行(G – E♭ – B)が、この遠い調での再提示を可能にすると読む。
第2主題 m.52
実音で B♭5(付点4分)– A5(8分)– G5 – F5 – D5 – E5、続けて D5 から C5 へ(本ガイドの実測)。独奏ヴァイオリンが p で、長いスラーの中を歌う。標語は Meno mosso ♩=80。伴奏は第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの p tranquillo とコントラバスの持続音で、第1ヴァイオリンは休み、木管も m.56 まで入らない。調は変ロ長調(ト短調の平行長調)。リハーサル6。
提示部 mm.1–91
区分位置調主題内容・聴取ポイント
第1主題 mm.1–27Allegro moderato / リハーサル1=9 g moll P 独奏ヴァイオリンが伴奏なしで主題を弾き出す。m.9 で管弦楽が入るが、主題をロ短調で取り上げる(Harley)。
→ 聴取:協奏曲がオーケストラの前奏でも独奏の華やかな登場でもなく、独りごとのような低い旋律で始まる。そして管弦楽が入った瞬間に、調が遠くへずれている。
移行 mm.28–51リハーサル3=28, 5=43 推移 TR1 / TR2 / S0 移行部はさらに3つに割れる。TR1(m.28)=和声的な反復進行、TR2(m.37)=静的な和声、S0(m.43)=第2主題群の導入(この呼び分けは書誌を同定できなかった資料に由来するので、区分の目印として使うに留める)。Kerr 1943 が「B: 43–51」と呼んだ区画は、この S0 と同じ音楽を別の名前で指している。
→ 聴取:m.37 あたりから和声が動かなくなる。止まったまま溜めて、第2主題の入りを準備する。
第2主題 mm.52–77Meno mosso ♩=80 / リハーサル6=52 B dur S1 / S2 独奏が変ロ長調で歌う。m.69 からは名技的な走句(S2)に移る。
→ 聴取:ここだけ和声が澄む。第1ヴァイオリンが黙り、木管も入らないので、独奏の線がむき出しで残る。
終結群 mm.78–91 B dur S3 第2の名技的走句(S3)。異同:Kerr 1943 はこの区画を展開部の開始(m.75〜)として扱う。境界そのものは全員が見ているが、名前が違う。
→ 聴取:走句が2度続く。2度目のほうが長く、そのまま展開部へ流れ込む。
展開部 mm.92–182
区分位置調主題内容・聴取ポイント
主題労作 mm.92–182 転調 P / S 展開部は8つの部分に分けて読まれる。独奏の技術的な難所として mm.101–112 の長い16分音符の連なりと mm.113–117 が挙げられる(Thériault Brillon 2015)。
→ 聴取:提示部で歌だった素材が、ここでは走句に作り変えられる。独奏はほとんど休まない。
再現部 mm.183–257
区分位置調主題内容・聴取ポイント
再現 mm.183–257リハーサル21=183 g moll P / S ト短調へ戻る。Rifkin は mm.197–223 を再現部内の移行として扱う。異同:Kerr 1943 はコーダを m.241 から数え、mm.241–257 を再現部から切り離す。
→ 聴取:冒頭の独りごとが、こんどは伴奏を持って戻る。
コーダ mm.258–273
区分位置調主題内容・聴取ポイント
コーダ mm.258–273リハーサル29=258 g moll P Harley は、このコーダが第1主題の基本楽想の旋律(G–B♭–D–E♭–C♯–D)を和音の根音として並べ替え、緊張を最大化しながら解決を遅らせると読む。和声の骨格は i(258) – ♭iii(261) – ♭v(265) – ♭vi(269) – V(272) – i(273)。m.269 のフォルティッシモのハ短調第1転回が緊張の頂点で、その低音がやがて変ホ短調の和声に落ち着く。冒頭8小節と同じく、最後の16小節は B♮ を避ける(Harley)。楽章は独奏と管弦楽のピッツィカートで閉じる(Jouzová)。
→ 聴取:最後に残るのは第3音のない G と D の5度。長調とも短調とも決めずに切れる。Harley は、そこに含意されている音はおそらく B♭ だろうと読む。
提示部 ↔ 再現部の対比(調性軸)
提示部
第1主題=ト短調(無伴奏の独奏)。管弦楽の応答だけが ロ短調(♯iii)という遠い調に置かれる。第2主題=変ロ長調(平行長調)で、独奏が Meno mosso で歌う。
再現部
ト短調に戻る。コーダは第1主題の音高内容を和音の根音に読み替えて積み上げ、ト短調の主和音へ解決するが第3音を置かない。長調へ開くことも、短調で閉じ切ることもしない終わり方。
対比の軸は調性。ただしこの楽章で効いているのは属調と主調の緊張ではなく、主題そのものに埋め込まれた半音(E♭ と C♯ が D を挟む形)のほうで、Harley はそれがコーダの和声計画にまで拡大されると読む。
形式上の特異点
  • 無伴奏の独奏で始まる。管弦楽の前奏も、独奏の華やかな登場もない。低い音域の独りごとのような旋律から始まり、管弦楽が入るのは m.9。しかもそこで主題は主調ではなくロ短調で鳴る。
  • 独奏カデンツァを持たない。協奏曲の慣例である独奏の見せ場が置かれず、技巧は楽章の内側に織り込まれる(BSO のプログラムノート)。
  • コーダが B♮ を避ける。冒頭8小節と同じく最後の16小節に B♮ が現れず、終止は第3音のない G–D の5度になる(Harley)。第3楽章の終止がト長調の響き(B♮ あり)で閉じるのと、ちょうど裏返しの関係になる。
  • 区分の争点はラベルだけ。Kerr 1943(展開部 m.75・コーダ m.241)と、Hsieh 2024・Bradshaw 2018(m.92・m.258)は数字が違うが、区切りの位置そのものは3人とも同じ場所に見ている。mm.75–91 を提示部の終結群と呼ぶか展開部の始まりと呼ぶか、という呼び方の差にすぎない。

第2楽章 Andante assai

複合三部形式(A—B—A′)
主調:Es dur12/8 / 4/4 / 9/8 / 6/8 ♪ = 108全123小節 リハーサル 31–45
A
mm.1–52
B(Allegretto)
mm.53–95
間奏
96–100
A′
101–119
コーダ
120–123
※ 幅は小節数に比例。区分は Hsieh 2024 の表による。Kerr 1943 が A/B/A′ の境界(52|53 と 95|96)で完全に一致する——使った楽譜が違い(1938年のピアノ編曲版と 1937年の Boosey & Hawkes 版)、81年離れた二人が同じ継ぎ目を見ている。
主要主題
主要主題(a)m.3
実音で E♭5(付点2分)– E♭5 – D5 – F5 | F5 – E♭5 – F5 – E♭5 – A♭5 – G5 – F5 – B♭4(本ガイドの実測。第2音がタイの継続か打ち直しかは読み切れなかった)。独奏ヴァイオリンが p で入る。2小節の前奏のあと、3小節目からという入り方で、これは Jouzová の記述と一致する。標語は Andante assai ♪=108、12/8、変ホ長調。
主題 b m.19
テンポと拍子が変わり(Più animato、独奏部は 9/8)、ヘ長調へ。三連のオスティナートが沈黙し、控えめな裏拍の伴奏に替わる。4小節の提示のあと4小節の変奏(16分の三連)、続いてフルートが変奏を引き取って変イ長調へ(Jouzová)。
主題 c m.44
性格が急に変わり、覆いをかけたような響きになる。弱音器付きトランペット・ホルン・ヴィオラの4分音符の脈動、その上でコントラバスとチェロが小節の第2・第3の8分音符に pizz.、ヴァイオリンが三連、独奏が32分音符の音型(Jouzová)。7小節の区画に2小節の橋が続いて中間部へ入る。
主題 d(中間部)m.53
実音で F♯5(2分音符・テヌート)– E5 – D5 – C♯5 – E5(B♭管の記譜では G♯5–F♯5–E5–D♯5–F♯5)。第1クラリネットが dolce ed espress. で提示する。Allegretto、4/4、ニ長調。第1フルートがアクセント付きで並走し、16分音符を刻むのはヴィオラ、第1ヴァイオリンは8分でフルート側に沿い、第2ヴァイオリンは休み(本ガイドの実測。「第1ヴァイオリンが16分で写す」とする記述は誤り)。独奏ヴァイオリンはこの小節を休む。
A mm.1–52
区分位置調主題内容・聴取ポイント
前奏と主題 a mm.1–18Andante assai ♪=108 · 12/8 / リハーサル31=1 Es dur a 2小節の前奏は、第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの pizz.(いずれも p)とクラリネットの mp の2声で、コントラバスは入らない(初出は m.9)。ファゴットは各小節の最後の付点4分だけ pp で置かれる。m.3 で独奏が入ると両ヴァイオリンが抜け、ヴィオラとチェロとクラリネットだけが残る(本ガイドの実測)。主題は8小節のち管弦楽のヴァイオリンに渡り、そのときはロ長調で、独奏が対旋律を添える。4小節後に変ホ長調へ戻り、主題の後半を独奏が高い音域で弾く(Jouzová)。
→ 聴取:ピッツィカートの粒が絶え間なく回り続ける。第1楽章が独奏と管弦楽のピッツィカートで終わったのに対し、この楽章はピッツィカートで始まる。
主題 b mm.19–35Più animato / 独奏は 9/8 F dur → As dur b 拍子とテンポが変わり、オスティナートが止む。4小節の提示 → 16分三連による4小節の変奏 → フルートが変イ長調で引き取る(Jouzová)。
→ 聴取:回り続けていた伴奏が止まる。楽章の中でここだけ足取りが舞曲風になる。
主題 a′ mm.36–43リハーサル35=36 C dur a 主要主題がハ長調でフォルテで戻る。三連の伴奏オスティナートはヴィオラとコントラバスだけになり、クラリネットが対旋律を添える(Jouzová)。
→ 聴取:同じ歌が、調を変えるたびに厚みを変えて戻る。変ホ長調 → ロ長調 → ハ長調と移ってきた道筋。
主題 c mm.44–52リハーサル36=44 B dur c 弱音器付きの金管とヴィオラの脈動の上を、独奏が32分音符で動く。7小節の区画に2小節の橋が続く。
→ 聴取:音がいちど布をかぶったようになる。ここまでの歌が途切れ、中間部への通路になる。
B(Allegretto) mm.53–95
区分位置調主題内容・聴取ポイント
主題 d mm.53–69Allegretto · 4/4 / リハーサル38=53 D dur d 第1クラリネットが主題を出し、独奏はこの入りを休む。ヴィオラの16分音符が、数小節後に独奏が弾く同じ動きを先取りする(Jouzová)。続いて独奏が主題を引き取り、E 線と G 線を交替させるパッセージで、2人が同時に弾いているように聞かせる。
→ 聴取:独奏がいちど黙り、クラリネットに主役を譲る。そのあいだヴィオラが刻んでいる16分が、次に独奏がやることの予告になっている。
主題 e mm.70–82リハーサル41=77 D dur e 中間部の第2の楽想(Hsieh の区分)。
→ 聴取:Allegretto の足取りが続いたまま、旋律だけが入れ替わる。
主題 d′ mm.83–95リハーサル42=83 D dur d 主題 d が戻り、中間部を閉じる。
→ 聴取:中間部そのものが小さな三部形式になっている。
間奏 mm.96–100Meno mosso → Es dur — 5小節の間奏で、ファゴットが三連のオスティナートを予告する(Jouzová)。Hsieh の表もこの5小節を区分の外に置く。
→ 聴取:止まっていたオスティナートが、戻る前にファゴットで予告される。
A′とコーダ mm.101–123
区分位置調主題内容・聴取ポイント
A′(a′) mm.101–109Andante assai, come prima Es dur a 変ホ長調に復帰する。三連のオスティナートはヴィオラとクラリネットが担い、1小節後に管弦楽の第1ヴァイオリンが主要主題で入る。差異:冒頭では独奏が歌った主題を、ここでは管弦楽が歌い、独奏が対旋律に回る。
→ 聴取:主役と脇役が入れ替わって戻ってくる。
c′ mm.110–119リハーサル45=110 Es dur c 主題 c が戻るが、今度は変ホ長調に留まり、独奏が弱音器を付けるぶん落ち着いた響きになる(Jouzová)。
→ 聴取:いちど翳った素材が、こんどは静かなまま通り過ぎる。
コーダ mm.120–123Meno mosso · 4/4 Es dur a わずか4小節。独奏ヴァイオリンが初めてピッツィカートで三連のオスティナートを引き受け(mf, un poco gravamente)、主題はクラリネット2本(f espress.)とホルン2本(mp espress.)と弱音器を付けたチェロ(mp espress.)に移る。ファゴットは全休符(本ガイドの実測。インディアナポリス交響楽団のプログラムノートが挙げる「バスーンと低弦」は誤りで、Jouzová の「ホルンとチェロ」はクラリネットが抜けている)。m.121 でフルート2本が旋律を引き取り、m.123 の rit. では第1クラリネットが 12/8 に戻って低音域を下りる。独奏は付点4分を弾いたあと休止し、曲の終わりまで鳴らない。
→ 聴取:役が完全に入れ替わって終わる。ずっと歌っていた独奏が伴奏の刻みになり、ずっと刻んでいた側が歌を持って行く。
別の見立て:変奏曲として読むと
この楽章の形式呼称は資料で5通りに割れる。Kerr 1943=三部歌謡形式、Hsieh 2024=複合三部形式、Jouzová 2019=変奏形式と大三部形式の組み合わせ、Roeder=ABACA のロンド、Revutskyi & Huzhva=五部ロンド。ただしHsieh 2024 と Kerr 1943 は A/B/A′ の境界(52|53 と 95|96)で一致するので、少なくともこの2者については割れているのは括り方の名前だけといえる。残りの3者は分析の粒度も参照した版も違い、本ガイドは原本を確認していないものを含むので、「全員が同じ調の読みだ」とまでは言えない。上の区分表は Hsieh の三部の読みで組んだが、Jouzová の言うとおり「同じ歌が調と楽器を替えて戻ってくる」ものとして聴くほうが、耳には素直かもしれない。分析者の見立てであって、プロコフィエフが変奏曲として設計したと書き残しているわけではない。
主題
m.3、独奏ヴァイオリン、変ホ長調。ピッツィカートの三連の上で。
変奏として数えると
管弦楽のヴァイオリンがロ長調で(独奏は対旋律)→ m.36 でハ長調のフォルテ → m.101 で変ホ長調に復帰(今度は管弦楽が歌い独奏が対旋律)。David Nice (2003) は、この歌が全部で4回、完全な形で反復されると数える(原本未確認)。
最後の変奏
コーダ(m.120)。主題は管楽器とチェロへ、独奏はオスティナートへ。担い手そのものが変奏の対象になる。
形式上の特異点
  • 独奏と伴奏が違う拍子を持つ。本ガイドが総譜で実測したところ、m.4 で独奏の譜表にだけ 4/4 が立ち、伴奏は 12/8 のまま。m.6 で独奏が 12/8 に戻り、m.8 でまた 4/4 になる。独奏パートには ♩ = ♩. の換算が印字されており、小節の長さは同じままなので小節線はずれない。単純拍子(2分割)と複合拍子(3分割)が同時に鳴る記譜上の対立で、Hsieh も「伴奏と独奏ヴァイオリンが同じ拍子を持たないことすらある」と述べる。この楽章の拍子を「12/8」の一語で書くのは正確ではない。
  • 中間部の主題はより古いスケッチに由来する。Morrison 編 Sergey Prokofiev and His World(プリンストン大学出版, 2008)は、この主題が以前のスケッチのもので1935年になって完成され、協奏曲に取り込まれる際にクラリネットに割り当てられ、走句的な内声を持つ弦の伴奏を伴う形に変わったと記す。総譜の実測(第1クラリネットの主題、ヴィオラの16分)とそのまま合う。
  • 終わり方で役が入れ替わる。楽章を通じて独奏が歌い伴奏が刻んできたのに、コーダで独奏がピッツィカートの刻みを引き受け、歌は管楽器とチェロへ移る。第1楽章が独奏と管弦楽のピッツィカートで終わり、この楽章がピッツィカートで始まることも合わせると、ピッツィカートがこの2楽章の継ぎ目に置かれていることになる。
  • 総譜が実音で印刷されている。この版(M. Baron 復刻)では、クラリネットもホルンも弦と同じ調号で印刷される。分パート譜のほうは正しく移調されている(第1クラリネットは B♭ 管)。総譜から音を読むときに移調の読み替えが要らない代わりに、奏者の手元の譜面とは見え方が違う(本ガイドの実測)。
  • 最終小節の和音は読み取れなかった。全音符の符頭と五線が分離できず、構成音を確定できなかったので書かない。参考として Kerr 1943 の調性分析は mm.120–123 を変ホ長調としている。

第3楽章 Allegro, ben marcato

ソナタ・ロンド(A—B—A/C/A′—B′—A′+コーダ)
主調:g moll3/4 中心 𝅗𝅥. = 72全403小節 リハーサル 47–83カスタネットは3箇所だけ
A
1–33
B
34–82
A
83–125
C(展開部)
126–211
A′
212–243
B′
244–292
A′
293–337
コーダ
338–403
※ 幅は小節数に比例。形式の呼称は資料で割れる(Hsieh 2024=ソナタ・ロンド/Kerr 1943=第3ロンド形式 A-B-A-C-A-B-A/Yan 2019 とプログラムノート類=単に「ロンド」)。区分の小節境界は Kerr と Hsieh でほぼ一致するので、割れているのは名前だけ。小節・リハーサル番号・拍子・打楽器の入りは本ガイドが総譜と各パート譜から実測した。
主要主題
ロンド主題(A)m.1
4分休符のあと、スタッカートの8分音符2つが下り、次の小節でアクセント付きの重音を2分音符で保持する。低音域の3音が下行して開放G弦に落ちる音型(本ガイドの実測。独奏パート譜の加線を計測して B♭–A–G と読んだが、総譜側から読んだ別系統は1度高く C–B♭–G と報告しており、音名は1度ずれる可能性が残る。「開放G弦へ落ちる下行3音」までは確実)。以後 mm.3–5 が同じリズム細胞の反復で、和音が半音階的に上がる。m.1 は独奏ヴァイオリンだけ、m.2 からクラリネットとファゴットが旋律をオクターヴで重ね、ヴァイオリン・ヴィオラが pizz.、チェロとバスが1拍目に arco。Allegro, ben marcato、𝅗𝅥. = 72(1小節を1拍に振る)。Hsieh は「アクセントとテヌートが多く、舞曲でありながら軽くならない」と評する。
第2主題(B)m.34
独奏が mp espress.、IV(G線)指定で歌う。長い音価とヘアピンで書かれ、A の刻みと正反対の性格になる。調号は♯1に変わる。リハーサル50。
C 部の主題 m.129
sul G のカンタービレ。開放弦のハーモニクスを混ぜる。mm.128–142 と mm.143–157 がほぼ同一の15小節単位で反復される(本ガイドの実測)。Hsieh は、コーダ(m.338〜)がこの旋律に基づくと述べる。
A / B / A mm.1–125
区分位置調号主題内容・聴取ポイント
A(提示) mm.1–30リハーサル47=1, 48=10, 49=22 ♭2(g moll) A 独奏がロンド主題を出す。m.1 だけが完全な独奏で、m.2 から木管と弦が加わる。打楽器はここには一つも入らない。バスドラムが m.14、トランペットが m.22、小太鼓が m.24 で初めて鳴る(本ガイドの実測)。
→ 聴取:この最初の提示にはカスタネットが無い。後で3回だけ鳴るので、まず「無い状態」を覚えておく。
間奏 mm.31–332/2 – 3/4 – 2/2 ♭2 → ♯1 — 拍子が1小節ごとに変わる3小節。
→ 聴取:足取りが一瞬つまずく。この曲の間奏はどれもこの形で、区分の継ぎ目の合図になる。
B mm.34–59リハーサル50=34, 51=51 ♯1 B 独奏が G 線指定で叙情的な第2主題を歌う。異同:B 主題の開始を Hsieh は m.34、Kerr は m.35 とする。総譜のリハーサル50(m.34)に mp espress. の新主題が入るので、本ガイドは m.34 を採る。
→ 聴取:同じ独奏楽器の、いちばん太い弦だけで歌わせる。音色が急に暗く厚くなる。
結尾部 mm.60–82m.64 で 7/4(2+3+2)/m.76 で 3/4 poco animato 調号なし B 素材 mm.60–63 の間奏を挟み、m.64 で7/4になる(総譜に 2+3+2 の拍分割が印字される)。m.72 は弦だけ、un poco marcato で pizz. と arco が交替する。mm.76–82 は独奏が休み、管弦楽だけで A の回帰へ橋を架ける。
→ 聴取:7拍子が「2+3+2」で割られている。均等な7拍ではなく、真ん中だけ長い足取り。
A(第1の回帰) mm.83–125リハーサル54=83 Tempo I, 55=98, 56=112, 57=126 ♭2 → ♯1(112) → ♭2(126) A m.84 からカスタネットが初めて入る(mp ben ritmato、mm.84–90 の7小節)。m.123 で accelerando、m.126 で Poco più mosso、m.127 でトライアングルが初出(本ガイドの実測)。
→ 聴取:カスタネットが鳴るのはここが最初。しかも主題の頭ではなく、その1小節あとから入る。
C(展開部) mm.126–211
区分位置調号主題内容・聴取ポイント
sul G のカンタービレ mm.126–158リハーサル58=136, 59=144 ♭2 C m.129 から独奏が G 線で新しい旋律を歌う。mm.128–142 と mm.143–157 はほぼ同一の15小節で、そのまま繰り返される。この区間、拍子の変化は一つもない。
→ 聴取:同じ15小節が2度続く。2度目に何が変わるか(伴奏の厚み)に耳を向ける。
展開 mm.159–211リハーサル60=159, 61=172, 62=183, 63=197, 64=205 ♯3(m.159〜) C / A 素材 m.159 で調号が♯3に変わる。m.172 で小太鼓が pp のロールを入れ、mm.190–195 は1小節の音型が6回繰り返される(本ガイドの実測)。異同:ロサンゼルス・フィルの作品解説などに「ロ長調の挿話」という記述があるが、印刷された調号でロ長調(♯5)になる箇所はこの楽章に無い。Kerr 1943 の調性分析が mm.163–171 と mm.206–211 を局所的にロ長調と読んでおり、解説はそちらに対応していると思われる。
→ 聴取:小太鼓の弱いロールが、遠くで鳴り続ける。展開部が最も長い区分で、ここで曲の重心が動く。
A′ / B′ / A′ mm.212–337
区分位置調号主題内容・聴取ポイント
A′(第2の回帰) mm.212–243リハーサル65=212 Tempo I, 66=221, 67=226, 68=238, 69=243 ♭2 A m.213 からカスタネットが2度目(mp ben ritmato、mm.213–219)。m.226 で独奏が con sord.(弱音器)。mm.238–243 の間奏はまた 2/2 と 3/4 の交替になる。差異:主題が戻るたびにカスタネットが付くが、位置は毎回 Tempo I の翌小節から7小節だけ。
→ 聴取:弱音器を付けた独奏の音。同じ旋律が、直前とまったく違う手触りになる。
B′ mm.244–292リハーサル70=261, 71=270, 72=278 ♭2 → 調号なし(257) B m.243 から senza sord. sul G で叙情主題が戻り、m.261 に espress.。m.270 でまた7/4、m.278 で 3/4・Poco più mosso に戻る。
→ 聴取:弱音器を外した瞬間から、同じ主題が息を吹き返す。
A′(最後の回帰) mm.293–337リハーサル73=293 Tempo I, 74=302, 75=311, 76=324 調号なし A mm.294–300 にカスタネットの3度目(最後)。m.324 から独奏が14小節休み、管楽器の合奏になる。m.334 あたりに (senza rit.) の指示。
→ 聴取:カスタネットはこれで打ち止め。コーダには一度も入らない。
コーダ mm.338–403
区分位置調号主題内容・聴取ポイント
コーダ開始 mm.338–346リハーサル77=338(総譜に CODA と印字・♩. = ♩)/5/4 ♭2 → ♯1(345) C 由来 総譜に CODA と明記され、拍分の換算(♩. = ♩)が印刷される。拍子が 5/4 になる。Hsieh は、この部分が C 部の旋律に基づくとする。
→ 聴取:1小節1拍で振っていた 3/4 が、5拍に広がる。足取りが崩れたまま終曲へ向かう。
拍子の交替 mm.347–3785/4 → 2/2 → 2/4 → 3/2 が入れ替わる ♯1 A / C 素材 拍子が小節単位で入れ替わる(5/4→2/2→5/4→2/4→5/4→3/2→2/2→5/4)。mm.342–372 のおよそ30小節は、独奏とバスドラムとヴィオラ・チェロ・コントラバス(多くは pizz.)だけという薄い書法(本ガイドの実測)。
→ 聴取:オーケストラがほとんど消え、独奏と打楽器と低弦だけになる。ここがこの曲でいちばん奇妙な音の場所。
終結 mm.379–403m.379 から 3/4(最後の拍子指定)/m.393 tumultuoso ♯1 A m.379 の 3/4 が最後の拍子指定で、そこから終曲まで 3/4 のまま。m.393(リハーサル83)の独奏譜の上に tumultuoso が印字され、開放G から半音階で ff に駆け上がる。m.401 で 8va の高音和音、mm.401–402 に pizz. の和音。最終小節 m.403 は全員がアクセント付きの8分1発で、鳴るのはクラリネット・ファゴット・トランペット・バスドラム・独奏(arco)・チェロ・コントラバス。フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラは休み。独奏の最後の音は開放G。
→ 聴取:最後の一発で、上の弦楽器が誰も鳴っていない。だから響きが下に沈んだまま切れる。
形式上の特異点
  • カスタネットは3箇所だけで、主題の最初の提示には入らない。mm.84–90/mm.213–219/mm.294–300 の各7小節で、いずれも Tempo I の翌小節から始まる。コーダには一度も鳴らない(本ガイドが総譜と Kalmus の打楽器パート譜の2系統で確認)。英語版 Wikipedia は「主題が現れるたびにカスタネットが伴う」と書くが、初出の m.1 には打楽器そのものが無い。Hsieh 2024 はこの限定を明記する数少ない文献(「主題 A(A′)の回帰にはカスタネットが伴う——ただし最初に現れるときを除く」)。訂正:本ガイドは当初、Kerr 1943 が「10回の主題提示のうち第4回と第7回にカスタネットが伴う」と記録していると書いたが、公開前の検証で Kerr の本文(p.94)には「カスタネットは短く使われる」の一文と譜例が一つあるだけで、そのような集計は存在しないことを確認したため撤回した。3箇所という数字は本ガイドの実測による。
  • 「5/4 で終わる」わけではない。5/4 はコーダ冒頭の m.338 で導入され、以後たびたび戻るが、最後の拍子指定は m.379 の 3/4で、そこから終曲までそのまま(本ガイドの実測)。
  • 終止はト長調の響き。最終小節の調号は♯1で、ファゴット2本が G と B を臨時記号なしに置く。つまり第3音が B♮ で、ト短調ではない(本ガイドの実測。Kerr 1943 の調性分析も mm.393–403 を長調のトと記録する)。ただしチェロの下声は解像度の限界で読み取れなかった。
  • 間奏がすべて拍子の交替でできている。mm.31–33、mm.60–63、mm.238–243 はいずれも 2/2 と 3/4 が1小節ごとに入れ替わる。区分の継ぎ目が、和声ではなく拍子で作られている。
  • スペイン風の色は打楽器が作っている。カスタネット・トライアングル・バスドラム・小太鼓と独奏のスタッカート重音の組み合わせが「スペイン風」の空気を作る、というのがボストン交響楽団(Harlow Robinson)やインディアナポリス交響楽団のプログラムノートの説明で、マドリード初演を見込んで加えられたとも言われる。ただしこの因果を裏づけるプロコフィエフ自身の発言は見つからない。ロシア語圏の解説は主要主題をマズルカ風、副主題をワルツ風と呼び、スペイン性を打楽器の色のほうに帰している。
  • ティンパニが無く、打楽器は1人。Boosey & Hawkes の編成表記は perc(1) で、シンバル・トライアングル・カスタネット・バスドラム・小太鼓を1人が持ち替える。Kalmus の打楽器パートが5楽器を1冊にまとめていることが実物の裏づけになる。

参考文献

  • Fang-Chun Hsieh, A Study of Prokofiev's Two Violin Concertos: A Comparison, and an Exploration of Prokofiev's Compositional Style(シンシナティ大学・DMA 学位論文・2024)— 全3楽章の小節番号つき区分表。第3楽章のカスタネットが「主題の最初の提示を除く」ことを明記する数少ない文献。
  • Bradshaw, PhD thesis, University of Queensland, 2018(とされる資料)— 第1楽章を Sonata Theory の語彙(P/TR1/TR2/S0/S1/S2/S3)で割り付ける。著者名・題名・頁・識別子のいずれも本ガイドでは同定できなかった。したがって出典として扱わず、Hsieh 2024 の区分を補強する材料にもしていない。この語彙を本文で使っているのは、区分の呼び分けが便利なためである。
  • Konrad Harley, "Harmonic Function in the Music of Sergei Prokofiev"(トロント大学・博士論文・2014)— 第1楽章の基本楽想の音高内容(p.108)とコーダの和声計画。
  • Deborah Anne Rifkin, "Tonal Coherence in Prokofiev's Music"(ロチェスター大学イーストマン音楽学校・博士論文・2000)— 第1楽章の主題の作られ方。なお同著者の査読論文 "The Quiet Revolution of a B Natural: Prokofiev's 'New Simplicity' in the Second Violin Concerto", Twentieth-Century Music 6/2 (2009): 183–208 は有料で、本ガイドでは本文を参照していない。
  • Esther Stephens Kerr, A Stylistic Analysis of Serge Prokofieff's Second Concerto for Violin(North Texas State Teachers College・修士論文・1943)— 全楽章の小節番号と調性の付録表。1943年の分析枠組みによる。
  • Anna Jouzová Sommerová, Druhý houslový koncert Sergeje Prokofjeva v kontextu další skladatelovy tvorby(プラハ芸術アカデミー HAMU・修士論文・2019、チェコ語)— 第2楽章の進行と楽器の、現存する最も詳しい記述。位置はリハーサル番号による。
  • Jishuang Yan, Prokofiev's Eclectic Approach in his Violin Concerto No. 2 in G Minor(北テキサス大学・DMA・2019。UNT Digital Library)
  • Simon Morrison (ed.), Sergey Prokofiev and His World(Princeton University Press, 2008), pp.416–419 — 第2楽章中間部の主題が、より古いスケッチに由来すること。本ガイドは原本を確認していない。
  • Michael Steinberg, The Concerto: A Listener's Guide(Oxford University Press, 1998)— 第1楽章冒頭の主題の評、および楽章の標語表示。本ガイドは原本を確認しておらず、調査の過程で得た引用を用いている。
  • David Nice, Prokofiev: From Russia to the West, 1891–1935(Yale University Press, 2003), pp.333–335 — 第2楽章の主要主題が4回反復されること。原本未確認。
  • Thériault Brillon (2015), Intermezzo 2, pp.26–39(オタワ大学)— 演奏実践の側から見た第1楽章の技術的難所とコーダの終わり方。
  • Roeder (1994) — 第2楽章を ABACA のロンドと読む立場。書誌の詳細(著者名・書名・頁)は本ガイドでは未確認で、形式呼称が割れていることを示すためだけに名前を挙げている。
  • Revutskyi & Huzhva (2018)(ウクライナ語、doi:10.33287/22195)— 第2楽章を五部ロンドとし、調の連鎖を Es–D–Es と記述する。本ガイドは原本を確認していない。
  • Israel Nestyev, Sergei Prokofiev: His Musical Life(Knopf, 1946)— 総譜が1935年8月16日にバクーで完成したこと。
  • 作品情報・編成・演奏時間:Boosey & Hawkes(perc(1)=打楽器1名を明示する唯一の出典)。初演・受容は Harlow Robinson によるボストン交響楽団のプログラムノート。
  • 楽譜(底本):Edition Russe de Musique(Berlin, 1937, 図版番号 R.M.V. 636)の M. Baron(New York, ca.1941, 図版番号 MB 267)復刻。独奏パートは Boosey & Hawkes(版番号 B.H. 16668)、打楽器パートは Edwin F. Kalmus の手写。いずれも IMSLP(カナダ・EU ではパブリックドメイン、米国では非 PD)。
第1版 | 初版 2026-09-03 | 最終改訂 2026-09-03