R.シュトラウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.8
Richard Strauss: Violin Concerto in D minor, Op. 8, TrV 110(1880–82/初演1882, ウィーン, ピアノ伴奏版)
主調の地図:ニ短調(I)に発して楽章の後半でニ長調に転じ、変ロ長調(II)で歌い、ニ長調(III)で駆け抜ける。小節番号は総譜で実測し、作曲者のピアノ編曲譜2版と突き合わせた。
出典・底本
主な分析ソース:本ガイドが確認できた範囲では、全楽章を小節単位で通覧した公刊分析は見つからなかった。ヴェルベックの研究章 “Strauss’s compositional process”(The Cambridge Companion to Richard Strauss, 2010)は作曲過程を草稿から論じ、本作の草稿にも触れるとされるが、本ガイドは本文を参照できていない。Del Mar の注釈書と、2020年の台湾師範大学の博士論文(シュトラウスのヴァイオリン作品の分析)も未参照。そのため区分・小節・調は本ガイドが楽譜から実測した。形式の呼び名と作品の来歴は、ヴァルター・ヴェルベック(Walter Werbeck、シュトラウス研究者)による Universal Edition の作品解説(出版社の解説文・2000年)、タリー・ポッター(Tully Potter)による Hyperion CDA68044 の解説(レーベルのブックレット・2014年)、イェルク・ペーター・ウルバッハ(Jörg Peter Urbach)による Pentatone PTC 5186653 の解説(レーベルのブックレット)に拠る。位置の準拠:本ガイドが総譜で実測した小節番号。底本は総譜 Aibl(ミュンヘン, [1897]、図版番号 R. 2518a)の Kalmus 復刻(IMSLP #677270)。総譜は小節番号を刷らず、練習記号(アルファベット)を楽章ごとに振り直して刷る(J と Q は使われていない)。位置欄に練習記号を併記した。小節は総譜の全95頁を数え、別に独奏ヴァイオリンとピアノによる作曲者の編曲譜2版(Muzyka, モスクワ, 1984, IMSLP #25302/IMSLP #15297。後者は IMSLP の版情報では Aibl 1883 の Universal Edition 復刻)をそれぞれ数えて突き合わせた。3楽章とも、3資料で総小節数と目印の位置が一致した(403/153/731)。第3楽章冒頭の弱起(アウフタクト)は数えない。調号は総譜の実音の段(フルート・オーボエ・ファゴット・弦)で読んだ。音名は主にピアノ編曲譜からの読み取りで、確度の低いものは本文にそう書いた。
参照録音(スパインの幅の基準):アラベラ・シュタインバッハー独奏/ローレンス・フォスター指揮ケルンWDR交響楽団(Pentatone PTC 5186653、2017年5月ケルン・フィルハーモニー録音)。楽章の演奏時間(15:10/6:09/8:30)はブックレットの公表値。第2楽章の6:09は、153小節(3/8)を8分音符に直すと毎分約75で、総譜のテンポ表示 ♪=69 と見合う(編曲譜の ♩.=69 ではない。下の第2楽章の特異点)。区分ごとの時間目安(≈mm:ss)は付けていない。トラックは楽章単位でしか割られておらず、本ガイドは録音を聴いて区分を計測していない。推測の時間は書かない。
本文で言及する論:ポッター(楽章ごとの性格・初演の経緯)/ヴェルベック(成立と初演の経緯)/ウルバッハ(終楽章の性格)。形式の区分名(提示部・展開部・再現部、ロンドの各部)は本ガイドの読みであり、典拠が名指ししているのは第2楽章の三部形式とロンドという呼称だけである。
全3楽章の俯瞰
| 楽章 | 形式 | 主調 | 拍子 | 形式上の変型 | 聴きどころ |
|---|---|---|---|---|---|
| I. Allegro | 協奏曲のソナタ形式(トゥッティと独奏の交替) | ニ短調 → ニ長調 | 4/4(全403小節) | 管弦楽の前奏は26小節と短く、第2主題を先取りしない。書き込まれたカデンツァが展開部の入口に2度置かれる。再現部は第2主題からニ長調に変わり、楽章は長調で閉じる | ぶっきらぼうな全奏のあと、独奏が低い A から一気に駆け上がって登場する。ホルンが先に歌うヘ長調の第2主題と、その主題を独奏が受け継ぐところが前半の山。 |
| II. Lento, ma non troppo | 三部形式(A–B–A′) | 変ロ長調 | 3/8(全153小節) | 中間部で和声が揺らぎ、ff の頂点のあとフェルマータで止まる。主題はまず低い音域で、ついで元の音域で戻る | 木管の和音に乗って独奏が静かに歌い出す。ポッターもホルンの書法を褒めている。いちばん素直に若いシュトラウスの歌が聴ける楽章。 |
| III. Rondo. Presto | ロンド(ソナタ的な調の運びを持つ変則形。本ガイドの読み) | ニ長調 | 2/4(全731小節)。終盤に 4/4 の Andante | ロンド主題の最後の回帰を省き、代わりに 6小節の Andante と Prestissimo のコーダを置く | 最高音域のスタッカートがヴァイオリン群のピッツィカートの上で跳ねる。途中の長いトゥッティ(48小節)のあと、第2主題がニ長調で戻る。終わり近くで一瞬テンポを落として歌い直すのが印象に残る。 |
楽章をまたぐ仕掛け:主調の糸は「ニ短調 → ニ長調」。第1楽章は短調で始まって長調で閉じ、緩徐楽章は変ロ長調(ニ短調から見て第6音の調)、終楽章は初めからニ長調に居る。ポッターは終楽章が「第1楽章の素材を引用する」と書くが、箇所を名指ししていない。本ガイドは終楽章の Andante(m.701)の旋律が第1楽章第2主題の頭の形に似ていると読む(下の第3楽章の特異点)。
成立と初演:シュトラウスがギムナジウム最終学年だった時期の作(ポッターは1881〜82年、IMSLP は1880–82年とする)。ヴェルベックは完成を1882年3月22日とし、ポッターは終楽章の完成を卒業後の夏休み明けとする(両者は食い違う)。献呈先はミュンヘン宮廷管弦楽団のコンサートマスターで、作曲者の父フランツのいとこでもあったヴァイオリンの師ベンノ・ヴァルター(1847–1901)。初演は1882年12月5日、ウィーンのベーゼンドルファー・ザールでヴァルターの独奏、ピアノ伴奏版で行われた。ピアノを弾いたのはシュトラウス本人で、同じ演奏会に出ていたピアニストのオイゲーニエ・メンターが協奏曲では席を譲った(ポッター、ヴェルベック)。シュトラウスは初演のあと両親に、拍手が「最初のヘ長調のトリルのあとで」来たこと、自分も「少なくとも伴奏はしくじらなかった」ことを書き送っている(ポッターによる英訳の引用)。ウルバッハだけは初演の伴奏をメンターとするが、この本人の手紙と食い違う。管弦楽つきの初演は1890年3月4日、ケルンの第9回ギュルツェニヒ演奏会(ヴァルター独奏)。ギュルツェニヒ演奏会の記録集がこの日に本作を「UA(初演)」として載せており、ポッターも同じ日付と指揮者ヴュルナーを挙げる。1896年2月17日のライプツィヒは、作曲者が自ら指揮した最初の上演である(ポッター)。ヴェルベックとウルバッハはこの1896年を管弦楽版の初演とするが、1890年の演奏会記録と合わない。第1楽章提示部の終わりのトリル(mm.164–167)がそれにあたると本ガイドは読む。編成は2管(Fl・Ob・Cl・Fg 各2)、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦。トロンボーンはない(総譜の編成表で確認。編曲譜の楽器指示「Tromb.」はトランペット Trombe の略)。
成立と初演:シュトラウスがギムナジウム最終学年だった時期の作(ポッターは1881〜82年、IMSLP は1880–82年とする)。ヴェルベックは完成を1882年3月22日とし、ポッターは終楽章の完成を卒業後の夏休み明けとする(両者は食い違う)。献呈先はミュンヘン宮廷管弦楽団のコンサートマスターで、作曲者の父フランツのいとこでもあったヴァイオリンの師ベンノ・ヴァルター(1847–1901)。初演は1882年12月5日、ウィーンのベーゼンドルファー・ザールでヴァルターの独奏、ピアノ伴奏版で行われた。ピアノを弾いたのはシュトラウス本人で、同じ演奏会に出ていたピアニストのオイゲーニエ・メンターが協奏曲では席を譲った(ポッター、ヴェルベック)。シュトラウスは初演のあと両親に、拍手が「最初のヘ長調のトリルのあとで」来たこと、自分も「少なくとも伴奏はしくじらなかった」ことを書き送っている(ポッターによる英訳の引用)。ウルバッハだけは初演の伴奏をメンターとするが、この本人の手紙と食い違う。管弦楽つきの初演は1890年3月4日、ケルンの第9回ギュルツェニヒ演奏会(ヴァルター独奏)。ギュルツェニヒ演奏会の記録集がこの日に本作を「UA(初演)」として載せており、ポッターも同じ日付と指揮者ヴュルナーを挙げる。1896年2月17日のライプツィヒは、作曲者が自ら指揮した最初の上演である(ポッター)。ヴェルベックとウルバッハはこの1896年を管弦楽版の初演とするが、1890年の演奏会記録と合わない。第1楽章提示部の終わりのトリル(mm.164–167)がそれにあたると本ガイドは読む。編成は2管(Fl・Ob・Cl・Fg 各2)、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦。トロンボーンはない(総譜の編成表で確認。編曲譜の楽器指示「Tromb.」はトランペット Trombe の略)。
第1楽章 Allegro
協奏曲のソナタ形式
全奏
1–26
1–26
提示部
27–167
27–167
全奏
168–194
168–194
展開部
195–247
195–247
再現部
248–388
248–388
終結
389–403
389–403
※ 幅は小節数に比例。区分名は本ガイドの読み(典拠なし)。再現部(mm.248–388)は提示部(mm.27–167)とまったく同じ141小節で、目印がすべて221小節ずれの位置に揃う。大きく違うのは調(第2主題以降がヘ長調でなくニ長調)と、再現の前の全奏が6小節しかないこと。細部では主調の歌の低音が F から D に変わる。
主要主題
全奏の主題 m.1
ニ短調の主和音を ff で打ち、付点のついた A→D の上行で次の打撃へ押し出す。総譜ではこの付点の動機をホルンとトランペットが吹き、弦と木管は和音を打つ。ポッターのいう「高圧的な(peremptory)主題」。
独奏の登場 m.27
全奏の和音が切れると、独奏が低い A(f)から32分音符で一気に駆け上がる。下ではホルンが A を pp で保ち、ティンパニがトレモロを打つ。旋律ではなく名技の身振り。m.38 で ff con forza の高い音に届く。
主調の歌 m.50
独奏が con espress. で、D–E–F と4分音符で1音ずつ上がり、次の小節で A に届く。調はニ短調のまま(低音は F、次の小節でイ音上の属和音)。第2主題の前に置かれた、第1主題群の中の歌。
第2主題 m.92(ホルン)/m.97(独奏)
先にホルン独奏が p con espress. で、C を長く伸ばしてから1オクターヴ下へ跳び、また上へ戻る形で歌い出す。5小節後に独奏ヴァイオリンが p molto sostenuto で受け継ぎ、C の同音反復から C–B♭–A–G と下る。ヘ長調(ニ短調の平行長調)。音名はスキャンからの読みで、確度は中程度。
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 管弦楽の前奏 | mm.1–26Allegro ♩=112 | d moll | 全奏主題 | ff の全奏で始まり、m.9 でフルート、m.10 でクラリネットとファゴットが p に落とす。mm.17–18 では低い A の上でトレモロ。独奏パート譜には「Tutti 26」と刷られている。第2主題は前奏に出てこない——古典派の協奏曲のように、管弦楽が両主題を先に一巡りする形はとらない。 → 聴取:短い。ポッターも「かなり短いトゥッティのあとで独奏が入る」と書く。構えるまもなく独奏が来る。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 第1主題群:独奏の登場 | mm.27–49練習記号 A=38 | d moll | P | 独奏が低い A から駆け上がり、ホルンの A の保続音の上で走句と和音を交互に弾く。m.38 に ff con forza、m.43 に長い半音階の上行。 → 聴取:主題を歌うのではなく、走句で登場する。下で鳴り続けるホルンの A が、どこまで走っても属音の上に居ることを知らせる。 |
| 第1主題群:主調の歌 | mm.50–61B=61 | d moll | P2 | m.49 の弱起(mf)から con espress. の歌。m.55 に f、m.61(練習記号 B)で独奏が D の2分音符に落ち着き、弦が pp に落とす。 → 聴取:走句のあとに、同じニ短調のままで歌が来る。短調の歌が一段落すると、伴奏が8分音符の刻みに変わって次の段に移る。 |
| 移行 | mm.62–81 | 推移 | Tr | 刻みの伴奏の上で独奏が新しい句を始め、m.72 からフルートが加わる。m.73 の f、m.75 の p を経て、m.80 からクレッシェンド。 → 聴取:m.62 からの句に長い音から1オクターヴ跳ぶ形が出る(本ガイドの読み)。すぐあとのホルンの第2主題と同じ身振りで、先取りのように聞こえる。 |
| 全奏(第2主題の導入) | mm.82–96C=82 | F dur へ | S(ホルン) | m.82 で独奏が1音弾いて退き、f の全奏(低音とファゴット、ついでヴァイオリンとホルン)。m.90 から dim. し、m.92 でホルン独奏が第2主題を歌い出す。独奏パート譜ではこの間の休みが「Tutti 14」。 → 聴取:第2主題を最初に聴かせるのはホルン。ポッターは、家で毎日ホルンの練習を聞いて育った作曲家らしい書法だと書く(父フランツはミュンヘン宮廷管弦楽団のホルン奏者)。 |
| 第2主題 | mm.97–132D=98/m.112 a tempo/E=116 a tempo | F dur | S | m.97 で独奏が p molto sostenuto で主題を受け取る。m.108 string. e cresc. → m.112 a tempo f → m.115 rit. → m.116 a tempo p。m.119 から8va の高音域へ。m.125 に木管と金管が短く割り込む。 → 聴取:ホルンが歌った旋律を独奏が引き取る瞬間。同じ旋律が音色を替えて2度聞こえる。 |
| 終結群 | mm.133–167F=144 | F dur | K | m.134 から cresc. poco a poco。オーボエとクラリネットが1小節ずつ交互に合いの手を入れ、独奏は6連符の走句。m.144 ff、m.163 で管が加わり、mm.164–167 が独奏のトリルで、そこへ全奏が ff でなだれ込む。 → 聴取:トリルが提示部の終わりの合図。ウィーン初演でシュトラウスが「最初のヘ長調のトリルのあとで拍手」と書いたのは、この位置と本ガイドは読む。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 全奏 | mm.168–194G=168/H=189 | 推移 | – | ff の全奏。独奏は m.168 に1音弾いたあと mm.169–194 を休む(パート譜の「Tutti 26」)。m.194 で rit.、フェルマータの和音で止まる。 → 聴取:管弦楽だけで27小節。この楽章でいちばん長く独奏が黙る場所。 |
| カデンツァ① | mm.195–199Cadenza in tempo | 推移 | P | 独奏だけの書き込みカデンツァ。長く保った A(longa、f)から半音階で駆け上がり、6連符のアルペッジョへ。ピアノ(管弦楽)は休み。形は m.27 の独奏の登場と同じ身振り。 → 聴取:カデンツァが楽章の終わり近くではなく、ここに来る。しかも即興に任せず、テンポの中で小節線どおりに書かれている。 |
| 全奏 | mm.200–205 | 推移 | – | ff の管の和音で割り込む。独奏パート譜の「Tutti 5」。m.205 rit. |
| カデンツァ② | mm.206–211 | 推移 | P | 同じ longa の開始で2度目の独奏。m.211 で独奏が p の和音を置き、全奏が5小節(mm.212–216)つなぐ。 → 聴取:同じ始まりが2度来る。全奏をはさんで、独奏と管弦楽が問いと答えを交わす形。 |
| 変イ長調の歌 | mm.217–241m.217 tranquillo/I=222 | As dur | S′ | m.217 で独奏が p tranquillo、E♭ の長い音から上行する。m.222 から con espress. の歌——付点2分音符の E♭ と8分音符の C を繰り返す、ゆったりした旋律を、編曲譜では変イ長調のアルペッジョ(pp)が支える(調は伴奏からの本ガイドの読み)。m.236 から cresc.、m.238 の f、m.239 のトリルを経て m.240 ff。 → 聴取:楽章でいちばん遠い、♭系の明るさ。ポッターが「第2主題と関係する第3の主題群」と呼ぶのは、この歌だと本ガイドは読む(ポッターは位置を示していない)。 |
| 再現への全奏 | mm.242–247K=242 | d moll へ | 全奏 | m.242 から6小節の全奏。クラリネット・ホルン・弦が半音階的な反復進行で主調へ引き戻し、最後の2小節は前奏の終わり(mm.25–26)と同じくアクセントつきの和音で締めくくる。 → 聴取:短い全奏のあと、m.27 と同じ ff の一撃とティンパニ、そして独奏の駆け上がり。ポッターは「高圧的な冒頭主題が再び現れる」と書くが、どの箇所を指すかは示していない。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 第1主題群 | mm.248–302L=259/M=282 | d moll | P / P2 / Tr | m.248 で独奏が m.27 と同じ形で登場し、m.259 ff con forza、m.271 con espress. の歌と、提示部を221小節ずれでなぞる。主調の歌の低音は、提示部の F に対してここでは D。 → 聴取:独奏の登場がそのまま再現部の開始になる。冒頭の全奏主題の代わりに、独奏の駆け上がりが「戻ってきた」印になる。 |
| 全奏(ここで転調) | mm.303–317N=303 | D dur へ | S(ホルン) | m.303 から全奏。m.311 で調号がシャープ2つに変わり、m.313 でホルン独奏が第2主題をニ長調で歌い出す。提示部ではヘ長調だった。 |
| 第2主題 | mm.318–353O=319/P=337 | D dur | S | m.318 で独奏がニ長調で受け継ぐ。m.333 a tempo f、m.337 a tempo p と、提示部と同じ運び。提示部の C–B♭–A–G が、ここでは A–G–F♯–E。 → 聴取:短調の楽章が、第2主題のところで長調に切り替わる。ここから先、楽章は短調に戻らない。 |
| 終結群 | mm.354–388R=365 | D dur | K | 木管との掛け合いと6連符の走句、トリル(mm.385–388)まで提示部と同じ。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 終結 | mm.389–403S=389 Tutti | D dur | – | ff の全奏で閉じる。独奏は m.389 の1音のあと加わらない。総譜には「vi-de」の記号(丸に縦線)で mm.393–400 の8小節を省いてよいというカットが示されている(m.401 から再開)。編曲譜(IMSLP #15297)にも、終結の全奏の一部を省く脚注つきのカット指示がある。 → 聴取:独奏のコーダはない。独奏が抜けたあとの15小節の全奏で、楽章が短くまとまって終わる。 |
提示部 ↔ 再現部の対比(調性軸)
提示部 mm.27–167
第1主題群=ニ短調(独奏の駆け上がりと、短調の歌)。第2主題=ヘ長調(平行長調)。ホルンが先に歌い、独奏が受け継ぐ。トリルで閉じて全奏へ。
再現部 mm.248–388
第1主題群=ニ短調のまま。第2主題=ニ長調(同主長調)。長さは141小節で提示部と同じ。調号は第2主題の直前の全奏(m.311)で変わる。
対比の軸は調性。第2主題が平行長調から同主長調へ移り、楽章全体がそのまま長調で閉じる。そのほかの点で目立つのは、再現部が提示部の141小節を1小節も削らずに繰り返すことのほうである。
形式上の特異点
- カデンツァが展開部の入口に置かれ、しかも2度ある。楽章の終わり近く(再現部のあと)に独奏カデンツァを置く通例をとらず、提示部後の全奏が止まったところで「Cadenza in tempo」が始まる(m.195)。全奏をはさんで同じ始まりのもう1つが続く(m.206)。どちらも即興に任されず、小節線の中に書き込まれている。
- 再現部は提示部のほぼ完全な写し。mm.27–167 と mm.248–388 は同じ141小節で、20を超える目印がすべて221小節ずれで揃う。大きく変わるのは調(第2主題以降がヘ長調からニ長調へ)で、ほかには主調の歌の低音(F→D)程度の差しかない。ポッターは、この楽章の名技の走句が「音楽の議論を先へ進めない」と書き、作曲者が後年この楽章を改訂しなかったことを惜しむ。形式の上でも、再現部は提示部を調だけ替えてなぞっている。
- 再現の合図は独奏が担う。再現部の前の全奏は6小節(mm.242–247)しかなく、前奏の26小節は繰り返されない。再現部の始まりとして耳に立つのは、m.27 と同じ独奏の駆け上がり(m.248)である。
- 第2主題をホルンが先に歌う。提示部(m.92)でも再現部(m.313)でも、第2主題の最初の提示は独奏ではなくホルン独奏に与えられる。
第2楽章 Lento, ma non troppo
三部形式(A–B–A′)
A
1–73
1–73
B
74–98
74–98
A′
99–153
99–153
※ 幅は小節数に比例。「三部形式」はポッター(classic ABA song form)と、ウルバッハが紹介するヘルシャーの評(three-part song form)による。区分の境界は本ガイドの実測で、B の始まりは sostenuto の指示(m.74)、A′ の始まりはフェルマータの直後(m.99)。
主要主題
主題 m.2(弱起)→ m.3
弱起の D から、B♭ – A – C B♭ A – D – G – F – E♭ C B♭ – A。付点4分音符でひとつずつ置いていく、3/8 のゆっくりした歌。独奏ヴァイオリンが p で、フルート・クラリネット・ファゴットの pp の和音の上で歌う。2版の読みが一致し、音名の確度は高い。
中間部の歌 m.74
独奏が sostenuto、mf molto con espressione。ホルンが p で支え、内声が細かく刻む。音名列は本ガイドのスキャンでは確定できなかったので書かない。主題よりも低い音域から始まり、和声が半音階的に揺れる。
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 主題 | mm.1–43Lento, ma non troppo ♪=69/A=23 | B dur | A | m.1 は木管の pp の和音だけ。m.2 の弱起で独奏が入り、m.3 から主題。すぐに主題が繰り返され、con espressione の応答句が続く。 → 聴取:伴奏は管の和音と弦の刻みだけで、独奏がずっと前に出ている。協奏曲というより、伴奏つきの歌。 |
| ホルンとトリル | mm.44–73B=44 | B dur | A | m.44 で独奏が G の上に長いトリルを張り、ホルン(p)とファゴットが下で動く。m.64 に木管全体が pp で入り、mm.69–73 は独奏が低い音を長く保つ。 → 聴取:独奏のトリルの下でホルンが歌う。ポッターが「ここでもホルンの書法がとりわけ見事」と書く楽章の、最初の聴きどころ。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 中間部 | mm.74–89C=74 sostenuto/m.84 string. | 転調 | B | 独奏が mf molto con espressione。調号は変ロ長調のままで、低音が半音ずつ動き、和声が落ち着かない。m.84 から string.(せき込んで)。 → 聴取:テンポが少しずつ前に出る。A の静けさから、同じ楽章の中で熱を帯びていく。 |
| 頂点 | mm.90–98a tempo | Es dur | B | m.90 a tempo で独奏が ff、トランペット・ホルン・ファゴットが加わる。低音はファゴットの E♭ で、変ホ長調の和音の上の頂点(本ガイドの読み)。m.98 で全体がフェルマータで止まり、独奏は dim. して pp へ。 → 聴取:静かな楽章の中で、音量がここに集まる。頂点のあとのフェルマータの静けさが、A′ への入口になる。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 低い音域の予告 | mm.99–107D=99 | B dur へ | A | フルート・クラリネット・ファゴットの pp の和音の上で、独奏が主題の輪郭を低い音域でなぞる(本ガイドの読み)。A の冒頭と違い、独奏は元の高さでは歌わない。 |
| 主題の回帰 | mm.108–153E=119/F=140 | B dur | A | m.108 の弱起 D から、m.109 で主題が元の音域に戻る(p)。m.136 に f、m.140 で p に落ち、m.148 からヴィオラとチェロの pp の上で独奏が低い音を長く保って閉じる。 → 聴取:主題が2段階で戻ってくる。まず低くくぐもって、次に元の明るい高さで。最後は変ロ長調の和音が pp で消える。 |
形式上の特異点
- 主調が変ロ長調。ニ短調の協奏曲の緩徐楽章として、平行長調(ヘ長調)ではなく第6音の調を選ぶ。第1楽章の第2主題(ヘ長調)とも違う調で、全曲の中でこの楽章だけが♭2つの世界に居る。
- 頂点は一点だけ。ff は m.90 の a tempo に集められ、トランペットがこの楽章で音を出すのも mm.90–96 だけである(総譜で確認)。
- テンポ表示が総譜と編曲譜で違う。総譜は「Lento, ma non troppo. M. ♪=69」(8分音符=69)、編曲譜2版は「♩.=69」(付点4分音符=69)と刷る。後者だと3倍速くなる。参照録音の演奏時間(6:09)から逆算すると8分音符で毎分約75で、総譜の表示に近い。
- 主題の回帰が2段階。A′ の最初の9小節(mm.99–107)は主題を低い音域でなぞるだけで、元の音域の主題は m.109 まで待たされる。
- 後年の受容。1903年、シュトラウスはバーミンガムから、この緩徐楽章が「地方のイギリス人にとりわけ気に入られた」と書き送った(ヴェルベックの解説による)。
第3楽章 Rondo. Presto
ロンド(変則形・本ガイドの読み)
A
1–74
1–74
B
75–138
75–138
C
139–270
139–270
全奏→A
271–310
271–310
A
311–348
311–348
展開
349–512
349–512
B
513–588
513–588
C
589–700
589–700
Andante・コーダ
701–731
701–731
※ 幅は小節数に比例。「ロンド」は楽譜の標題で、各部の名前と形式の見立ては本ガイドの読み。ソナタ・ロンドに近いと読む根拠は2つ——(1) 第2主題 B が前半では属調(イ長調, m.75)、後半では主調(ニ長調, m.525)に現れる。これはソナタ形式の調の運び。(2) 中央で A が主調のまま一度戻り(m.311)、そのあとに展開的な部分が続く。これはロンドの回帰。ただしこの読みは弱い。本ガイドは「A の回帰」を、主題の頭の音型だけでなく主調で主題の楽節が戻ることと数えるが、そう数えると A が完全に戻るのは m.311 の1回だけで、ロンドを成り立たせる A と対照部の交替が乏しい。後半は A を置かずに B から始まり、最後にも A の楽節は戻らない(通常のソナタ・ロンドは A–B–A–展開–A–B–A)。主題を一部省いたソナタ形式として読む方が筋が通るという見方も十分ありうる(下の「別の見立て」)。本ガイドは楽譜の標題「ロンド」を立てて区分するが、形式の名前は争点として残す。後半の B と C(mm.525–694)は前半(mm.75–244)を450小節ずれでそのままなぞる(2版の目印で確認)。A の311小節目からの回帰も、冒頭と310小節ずれで揃う。
主要主題
ロンド主題 m.1(弱起から)
最高音域で E–F♯–G♯–A と駆け上がり、A で止まるスタッカートの音型。G♯ が A を下から突く。独奏ヴァイオリンが pp で、下はヴァイオリン群のピッツィカートの和音だけ。三連符の弱起で始まる。音名は1音ずれる可能性がある(最高音域の加線の読み)。
第2主題 m.75/m.525
p cantabile。2分音符と4分音符で F♯ – E D – C♯ – B と1音ずつ下る(m.75、イ長調の圏内)。オーボエ・クラリネット・ファゴットが合いの手を入れる。後半の m.525 では5度下に移って B – A G – F♯ – E(ニ長調)。どちらも入口の和音は主調でない(m.75 は低音 A♯、m.525 は低音 D♯)。
C の歌 m.203
独奏が con espress. で E–A │ B–C♯ │ E と4分音符で上がる。フルートが応える。直前(m.199–)には、チェロの旋律の上で独奏がロンド主題の音型をスタッカートで刻む。
全奏の動機 m.271
A(4分音符)– A–B♭–A–G♯(8分音符)を全奏がオクターヴで4回繰り返す(f)。A を半音で上下から挟む形。m.291 で独奏が同じ形を p で引き取る。
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| A(ロンド主題) | mm.1–74Presto 𝅗𝅥=100/A=39 Tutti | D dur | A | 独奏が pp で主題を出し、ヴァイオリン群がピッツィカートで和音を置く。m.36 から下降の音階で cresc.、mm.39–46 に短い全奏(独奏は m.39 の1音のあと休む)。m.47 で独奏がフルートとともに再び入り、mm.72–74 は伴奏なしの独奏だけ。 → 聴取:ヴァイオリンの最高音域が、軽く小さく鳴る。ウルバッハはこの楽章を、フルートと独奏ヴァイオリンが追いかけ合う「息もつかせぬタランテラ」と呼ぶ。 |
| B(第2主題) | mm.75–138B=75 | A dur | B | p cantabile。木管の合いの手を受けながら、2分音符主体の歌が続く。mm.101–102 にターンつきのトリル。そのあと主題がもう一度、高い音域で繰り返される。 → 聴取:拍子は同じ 2/4 なのに、音が長くなるだけでテンポが落ちたように聞こえる。 |
| C(挿入部) | mm.139–270C=139/D=175/E=199/F=247 | 転調 | C | m.139 から弦が fpp で三連符の刻みを始め、独奏はシンコペーションで上がっていく音型。途中で何度か ff が噴き出す。m.199 からチェロが旋律を歌い、独奏はその上でロンド主題の音型を刻み、m.203 で con espress. の歌(フルートが応える)。同じ組み合わせがもう一度繰り返され、ff の走句を経て全奏へ向かう。 → 聴取:チェロと独奏が役を分け合う場面。独奏が刻み、チェロが歌い、次の瞬間に独奏が歌を取る。 |
| 全奏 | mm.271–290 | 推移 | 全奏動機 | A–A–B♭–A–G♯ の動機を全奏が f で4回打ち、m.275 で ff、変ロ音上の和音へ。独奏は mm.272–290 を休む。 → 聴取:ここで初めて、管弦楽が主役になる。 |
| A への戻り道 | mm.291–310 | 推移 | 全奏動機 | m.291 で独奏が「Solo」p、全奏の動機を半音の揺れとして引き取る。ホルンが pp で加わり、独奏は長い音で待つ。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| A の回帰 | mm.311–348G=311 a tempo | D dur | A | ロンド主題が pp で戻る。m.348 までは冒頭の mm.1–38 を小節単位でなぞる。冒頭では m.39 で全奏になったが、ここでは m.349 でファゴットの持続音から♭系へ曲がる。 |
| 展開 | mm.349–456H=375/m.435 rit./I=437 a tempo | 転調 | A / C | ロンド主題の音型が♭系の和声の中で転がり、独奏は mf の新しいスタッカート音型も出す。m.435 で rit.、m.437 a tempo で独奏が p で高い長い音を歌い、ホルンとファゴットが pp で支える。 → 聴取:m.437 で一瞬、時間が止まったように高い音が伸びる。速い楽章の中の、息継ぎの場所。 |
| 長い全奏 | mm.457–512K=457 Tutti | 推移 | – | m.457 で ff の全奏。mm.461–464 に4小節だけ独奏が顔を出し、m.465 から48小節の全奏(独奏パート譜の「Tutti 48」)。 → 聴取:協奏曲の終楽章で、独奏が48小節黙る。全曲でいちばん長い管弦楽だけの時間。 |
| 区分 | 位置 | 調 | 主題 | 内容・聴取ポイント |
|---|---|---|---|---|
| B の回帰 | mm.513–588L=525 | D dur | B | m.513 で独奏が f の下降の走句で戻り、m.514 から p の下降音型を繰り返して、m.525 で第2主題が cantabile、ニ長調で。続いて1オクターヴ上で繰り返す。前半(m.75)はイ長調、ここはニ長調。旋律は5度下に移る。 → 聴取:ロンド主題ではなく第2主題が先に戻る。ソナタ形式の再現部と同じ運び(本ガイドの読み)。 |
| C の回帰 | mm.589–700M=589 | 転調 | C | 三連符の刻みとシンコペーションの音型(m.589〜)、チェロの旋律と con espress. の歌(m.653)と、前半の mm.139–244 を450小節ずれでなぞる(2版の目印で確認できたのは m.694=m.244 まで)。Andante の直前の数小節は、伴奏の薄い下降音型。前半ではこのあと全奏へ向かったが、ここでは複縦線で Andante に入る。 |
| Andante | mm.701–706Andante・4/4 | D dur | 回想 | 拍子が 4/4 に変わり、独奏が高い音のフェルマータ(ff)から molto con espressione で下りてくる。オーボエとトランペット、ホルン、ファゴットが D の上に和音を敷く。m.706 で独奏が ff、フェルマータつきの A で半終止のように止まる。 → 聴取:急速な楽章の最後に、6小節だけ歌がよみがえる。旋律の頭(付点の A から G–F♯–E と下る形)は、第1楽章の第2主題の再現部の形に似ている(本ガイドの読み)。 |
| コーダ | mm.707–731Prestissimo・2/4 | D dur | A | p でロンド主題の E–F♯–G♯–A の音型が戻り、cresc.。ティンパニが加わり、独奏が ff の重音で最高音域へ。最後は全奏の和音と休符を交互に置き、フェルマータの和音で終わる。 → 聴取:ロンド主題そのものは戻らず、冒頭の音型だけがコーダの素材になる。本ガイドはこれを A の回帰とは数えず、A に由来するコーダと読む。 |
別の見立て:ソナタ形式として読むと
作曲者は「ロンド」としか書いていない。以下は、区分の長さと調の動きをソナタ形式の語彙で読むとこう見える、という分析者の見立てである。
提示部にあたる
mm.1–270。主題 A(ニ長調)→ 第2主題 B(イ長調=属調)→ 終結群 C。展開部にあたる
mm.271–512。全奏の動機、A の回帰(m.311)、♭系への展開、48小節の全奏。A の回帰を含むのがロンドらしさ。再現部にあたる
mm.513–700。第2主題がニ長調(主調)で戻り、C が続く。A 自体は再現されず、Andante とコーダ(mm.701–731)がその代わりになる。形式上の特異点
- ロンド主題の最後の回帰がない。ロンドなら最後にもう一度主題が戻るところを、6小節の Andante と Prestissimo のコーダに置き換える。コーダはロンド主題の冒頭音型(E–F♯–G♯–A)で始まるが、主題の楽節は戻らない。本ガイドはこれを A の回帰とは数えず、A に由来するコーダと呼ぶ。
- Andante の6小節(mm.701–706)。拍子もテンポも変わる短い挿入。ポッターは終楽章が「第1楽章の素材を引用する」と書くが、どの箇所かは示していない。本ガイドは、この Andante の旋律の頭が第1楽章第2主題(再現部の A–G–F♯–E)に似ていることを候補に挙げる。引用だと断定できるだけの根拠はまだない。
- 後半が前半の写し。第2主題から C の終わり近くまで(mm.75–244 と mm.525–694)は、調を変えただけで450小節ずれに揃う。第1楽章の再現部と同じ書き方。
- テンポ表示が総譜と編曲譜で違う。総譜は冒頭を「Rondo. Presto. M. 𝅗𝅥=100」とし、「Prestissimo」はコーダ(m.707)にだけ刷る。編曲譜2版は冒頭から「Prestissimo 𝅗𝅥=96」と刷る。本ガイドの楽章名は総譜に従う。
参考文献
- Walter Werbeck, 作品解説(2000年11月), Universal Edition, Richard Strauss: Konzert für Violine und Orchester d-Moll op. 8(出版社サイトの解説文)— 完成日(1882年3月22日)、ウィーン初演の伴奏、1896年ライプツィヒの上演、1903年の書簡。
- Tully Potter, CD 解説, Hyperion CDA68044(Tanja Becker-Bender/BBC スコティッシュ響/Garry Walker、2014年。レーベルのブックレット)— 楽章ごとの性格、初演と両親への手紙、1890年ケルンの管弦楽初演、1896年に作曲者が初めて指揮したこと、総譜の出版(Aibl, 1897)。
- Jörg Peter Urbach, CD 解説, Pentatone PTC 5186653(Arabella Steinbacher/WDR 響/Lawrence Foster。レーベルのブックレット、PDF)— 終楽章を「タランテラ」と呼ぶ記述、ウィーン初演の伴奏者をメンターとする記述、ヘルシャーの言葉。楽章の演奏時間。
- Karlheinz Weber, Vom Spielmann zum städtischen Kammermusiker. Zur Geschichte des Gürzenich-Orchesters, Bd. II(Merseburger。著者サイトの PDF)— ギュルツェニヒ演奏会の演奏記録。1890年3月4日の第9回演奏会でヴァルター独奏の本作を「UA」として載せる。
- Walter Werbeck, “Strauss’s compositional process”, in Charles Youmans (ed.), The Cambridge Companion to Richard Strauss(Cambridge University Press, 2010)— 草稿から作曲過程を論じる章。本ガイドは本文を参照していない(本作の草稿への言及があるとされるが未確認)。
- IMSLP の作品ページ — 成立年(1880–82)、初演(1882年12月5日、1890年3月4日)、献呈、編成、出版情報。
- 楽譜(底本):総譜、Aibl(ミュンヘン, [1897]、図版番号 R. 2518a)の Edwin F. Kalmus 復刻(カタログ番号 A2130)、IMSLP #677270。練習記号は楽章ごとにアルファベットで振り直し。
- 楽譜(照合用1):独奏ヴァイオリンとピアノのための作曲者編曲、Muzyka(モスクワ, 1984, 図版番号 12509)、IMSLP #25302。
- 楽譜(照合用2):同編曲、IMSLP #15297(IMSLP の版情報では Aibl, 1883, 図版番号 R. 2518c の Universal Edition 復刻 ca.1901。頁上の出版者表示はなし。ドイツ語の楽器指示、第1楽章末に任意カットの脚注)。
- Norman Del Mar, Richard Strauss: A Critical Commentary on His Life and Works, vol. 1 — 本ガイドは原本を確認していない(本作についての記述の有無も未確認)。
第1版 | 初版 2026-09-27 | 最終改訂 2026-09-27